本質を見抜けば、遠回りせずに済む —— 深く考える力は、3つの「なぜ」から始まる

曲がりくねった木製の遊歩道が森の中に続く風景。本質を見抜くための思索の旅を象徴 心の探求と静けさの智慧
木製の遊歩道が、深い森の中を静かに曲がりくねって続いている。先が見えない道は、「なぜ」を問いながら進む思索の旅を象徴している

See the Essence, Skip the Detours: The Thinking Power of Asking “Why” Three Times

「どうすれば正しい選択ができるのか」「もっと早く気づいていれば…」——そんな後悔や迷いを感じたことはありませんか?

複雑な問題の霧を突き抜け、核心に迫る深い思考力を身につけたいなら、最初に向き合うべきはあなた自身、あるいは相手の“内なる動機”です。

この“燃料”と“羅針盤”が見えていなければ、どれだけ努力しても空回りし、いつしか「がんばっているのに報われない」という摩耗と迷走に陥ってしまいます。

こんな言葉があります。
“「なぜやるのか」が明確であることは、「どうやるか」を知っていることの1万倍価値がある。”

なぜ「動機」がそんなに大事なのか?

1.行動のエンジンだから

すべての行動には必ず“駆動力”があります。
それを知らずに動くのは、目的地を知らないまま車を走らせるようなもの。運転技術があっても、意味がありません。

2.方向と粘り強さを決めるから

「なぜやるか」がはっきりしていれば、多少の壁にも折れません。
逆に目的がぼんやりしていると、ちょっとしたことで「もういいや」と諦めてしまう。

3.物事の本質と価値を見極められるから

何が“騒がしいだけ”で、何が“本当に必要なこと”なのか。動機を分析すると、見えてくる価値はまったく違ってきます。

本質と価値を見極めるには、【大道至簡――本質に立ち返る知恵と実践】の記事をご覧ください。

4.個人もチームも、「動機」が健康の中心にあるから

目標設定も、リソース配分も、行動選択も、すべて動機に左右されます。
それを無視したまま頑張るのは、エンジンオイルの切れた車を無理やり動かすようなもの。やがて機能不全を起こします。

小林のストーリー:コード職人から価値創造者へ

小林さんは、誰もが憧れる大手IT企業のエンジニア。高年収・高スキル。
でも、本人の胸の中は違いました。

【前半】 高給取りの“迷子”

毎晩、オフィスを出ると感じるのは「空っぽな自分」。
どれだけコードを書いても、誰のために?何のために?という問いに答えられない。

そんな空虚感を振り払うように、彼は転職を繰り返しました。
けれども、新しい会社でも数ヶ月でモチベーションが下がり、結局また疲れ果ててしまう。

“高収入の檻”に閉じ込められていたのです。

【転機】 3つの「なぜ」が心の霧を晴らした

ある日、彼は「キャリア動機探求ワークショップ」に参加。
ファシリテーターが投げかけたのは、たった3つの質問でした:

1.「なぜ自分はコードを書くのか?」

 → 最初は「問題を解決するのが楽しい」「何かを生み出すことが面白い」と思っていた。
 でも今は、「収入」「肩書き」「不安の回避」ばかりになっていたと気づく。

2.「一生エンジニアでいたいと思っているのか?」

 → 正直に言うと、「違う」。
 自分は社会に役立つ価値を直接届けたいとずっと思っていた。

3.「自分が人に貢献できるものは何か?」

 → 得意なのはコードだけじゃない。論理的思考と問題解決力こそが最大の強み。

この深い問いかけが、心の奥に光を差し込みました。
小林さんの悩みの本質は、“動機のズレ”だったのです。

【再出発】 コードで「誰かを助ける」へ

彼はもはや「給料」や「肩書き」では動かなくなりました。
代わりに探したのは、社会課題の解決に技術を活かせる場所
最終的に彼は、「プロダクトマネージャー」として価値創造の中心に立つことを目指すようになります。

【1年後】 “北極星”を見つけた日常

教育系スタートアップで、彼は主力プロダクトの設計担当に。
年収は以前より2割ほど下がりましたが、毎日が活き活きしている

なぜか?
•興味がある「教育課題」に挑める
•成長できる環境でユーザーと向き合える
•そして、自分の能力で多くの人の学びを支えられている

仕事がただの“労働”ではなく、意味ある冒険になったのです。

あなたも使える:3つの「なぜ」の問い

深く考えることは、難解な理論ではなく、実用的な習慣です。
大切なプロジェクトや決断の前に、ぜひ紙とペンを持って答えてみてください:

1.なぜ、それをやりたいのか?

→ 興味?成長?名声?不安からの逃避?
心の中の本音に向き合ってください

2.どれくらいの期間やるつもりなのか?

→ 数ヶ月の挑戦?1〜3年の中期?一生かけたい?
時間軸によって、準備も戦略も変わります

目の前の出来事だけに囚われず、その先を見ていく力について、【格局(かくきょく)──どこまで歩いていけるかを決める力】の記事をご覧ください。

3.自分が人に貢献できるものは何か?

→ 体力?専門知識?共感力?経験?
あなたらしい“価値提供”は何かを考えてください

もっと深掘りしたい人へ

▷「5 Whys」テクニック

最初の答えに納得がいかないなら、「なぜ?」を5回繰り返してみてください。

例:
「なぜ出世したい?」
→「収入を上げたい」
→「家を買いたい」
→「家族に安心を与えたい」
ここに、本当の願いがある

本音は、目頭が熱くなったり、心がざわつく感情の中にあります。

▷ チームでの“動機合わせミーティング”

プロジェクトの始まりや節目で、お互いの「なぜ」を共有する時間を持つと、動機のズレによる摩擦を減らせます

技術よりも「なぜ」が人を動かす

深い思考は、特別な才能ではありません。
それは、動機という名の“羅針盤”を見つける勇気から始まります

最初の一歩は、「どうするか」ではなく、
👉 「なぜ自分はこれをやるのか?」と問うこと

それが、自分にとっての北極星を見つける一歩です。

今日のアクションリスト

☑ 今、自分が力を注いでいることを1つ書く
☑ 3つの「なぜ」に答えてみる(紙に書き出す)
☑ 答えを見えるところに貼り、毎週見返す

「どうするか」を100覚えるより、
「なぜやるのか」を1つ深く知る方が、人生はぶれない。

遠回りを避け、本質に近づく人生へ。
あなたの“深い思考”の旅は、今日この3つの「なぜ」から始まります。

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