他人の欠点ばかり見ることが、最大の愚かさ

顔を手で覆いながら指を間から覗く男性と、彼を非難する女性の姿。責任転嫁と自省欠如を示す場面。 人間関係と感情理解
責められる男性と、それを指さす女性。自分の非を見ずに他人を責める姿勢の象徴

—— キケロの言葉が突く、人間の盲点

Why Only Seeing Others’ Faults Is True Foolishness — Self-Reflection Lessons from Cicero

愚かさの本質は、他人の過ちばかりを見て、自分の非を忘れることである
―― キケロ(古代ローマの政治家・哲学者)

本当の愚かさは、間違いを犯すことではなく、自分の非には目をつぶり、他人の欠点ばかりを見つめるその“目”にある。

キケロのこの名言は、何千年も前に語られたにもかかわらず、今もなお私たちの“あるあるな思考の落とし穴”を的確に突いています。

それが、選択的盲目(ダブルスタンダード)
これは単なる認知の欠如にとどまらず、自己成長を妨げ、人間関係を壊す毒にもなり得ます。

なぜ「他人の過ちばかり見る」のが愚かなのか?

1.自己成長を妨げる:一番大切な鏡を失う

他人のミスばかり気になる人は、自分の課題に気づくための“鏡”を失ってしまう

成長は、まず“自分の内側”を見ることから始まります。
自分のミスを認めず、振り返ることを避けていては、改善も進歩もありません。

たとえば、医者が他人ばかり診て自分の病気に気づかないようなもの。
または、隣の木の枯れ葉ばかり気にして、自分の根が腐っていることに気づかない木のようなものです。

2.人間関係を壊す:責任転嫁は信頼を削る

いつも誰かを責めてばかりいる人と、一緒に働きたいと思いますか?

“プロジェクトが遅れた”という場面で、
「Aの仕事が遅かった」「Bのミスのせいだ」と指摘ばかりしている人がいたら、
チームの空気はピリつき、信頼はどんどん薄れていきます。

自分のことを棚に上げて人を責める人に、心からついていきたい人はいません。

3.現実認識が歪む:「自分はいつも正しい」という錯覚

他人の間違いばかり見ていると、無意識に「自分は正しい」「悪くない」という幻想に陥ります。

これは、心理学でいう「基本的帰属の誤り」。
他人の失敗は「能力不足」、自分の失敗は「運が悪かった」と解釈してしまう傾向です。

キケロの言う“愚かさ”とは、まさにこのような認知の偏りが極端に現れた姿だといえるでしょう。

ストーリー:アベさんの気づきと変化

他人ばかり責める日々

アベさんはあるプロジェクトチームのメンバー。
納期が遅れるたびに、「ビルさんの要件定義が遅い」「ボブさんのコードにバグが多い」と、
まるで“正義の味方”のように会議で他人のミスを次々と指摘します。

しかし、実はアベさん自身も納期を守れず、ドキュメントも雑。
けれど、それには一切触れず、「タスクが難しすぎた」「仕様が曖昧だった」と環境のせいにする始末。

チームの雰囲気はどんどん悪化していきました。

見過ごせない“証拠”

ある大事なプロジェクトの振り返り会議で、アベさんはいつものように他人を責めます。

ところがその日、普段は控えめな新入社員デーンさんが立ち上がり、
プロジェクトの進行記録をもとに、アベさんのタスクの遅延・手戻りの実態を冷静に説明しました。

事実を突きつけられ、アベさんは言葉を失い、上司からも「自己反省が足りない」と厳しく指摘されます。

成長の始まり:反省ノートの習慣

その日を境に、アベさんは変わりました。

毎日仕事の終わりに、ノートにこう書くことを始めたのです:
•今日、自分が「うまくできなかった」ことは何か?
•なぜそうなったのか?
•明日、どう改善できるか?

はじめは苦しかったそうです。
でも、少しずつ「指摘の前に、自分を見直す」習慣ができてきました。

提案の仕方も変わり、チームメンバーからの反応も和らぎ、協力関係が戻ってきました。

未来:指摘より信頼を大切に

数か月後、アベさんはもう“火種”のような存在ではありません。

効率を大切にする姿勢はそのまま、でも今は「まず自分に厳しく、他人には丁寧に」。
ミスを責めるのではなく、どう改善するかを一緒に考える姿勢に変わりました。

自分の非を直視し、先に改善する姿勢が、信頼と成長の道を拓いてくれたのです。

実践アクション:愚かさを回避する5つの習慣

1.毎日のセルフチェック

毎晩寝る前に、以下の3つを自分に問いましょう:
•今日、自分が失敗した行動は?
•それはなぜ?どうすればよかった?
•明日はどうする?一つ具体的な改善アクションを書く

スマホのメモアプリでも、手帳でもOK。「書く」ことで脳が変わります。

2.批判の前に、自分に質問

誰かを責めたくなったとき、まずは自分に聞いてみて:
•「自分にも責任があるのでは?」
•「自分が相手の立場だったら、どう感じるか?」

これだけで言葉のトーンが変わり、伝え方が穏やかになります。

3.“指摘:内省”=1:3ルール

1つ他人のミスを見つけたら、同時に自分の改善点を3つ書き出すことを目指しましょう。

「自分に甘く、他人に厳しく」なりがちな私たちの視点を意図的に修正するための習慣です。

4.フィードバックをお願いする勇気

信頼できる同僚・友人にこう伝えてみてください:

「自分をもっとよくしたいと思っていて、率直なフィードバックをお願いしたいんだ。いいことも、直した方がいいことも、教えてくれたらすごく助かる」

言いにくいことでも、受け止める覚悟と感謝の気持ちがあれば、相手は必ず応えてくれます。

5.他人の失敗に共感を

誰もがミスをする――自分だってそう。
ならば、他人の失敗にも、同じ目線で寄り添ってみませんか?

泥の道を歩いていれば、誰でも一度は滑る。
他人が転んだとき、嘲笑するのではなく、手を差し伸べる余裕を持ちたいものです。

おわりに:自分を見つめる勇気が、愚かさを超える力になる

キケロの言葉は、決して「賢くなれ」と上から目線で言っているのではありません。

むしろ、「本当の愚かさ」とは、自分の過ちに目を向ける勇気がないことだと、私たちに気づかせてくれています。

人は、他人の窓ガラスの汚れには気づけても、
自分の窓の曇りにはなかなか気づけないもの。

でも、先に自分の窓を拭くことで、
人にも優しくなれるし、もっと遠くの景色も見えるようになるはずです。

反省とは、自分を責めることではなく、未来を照らす灯をともすこと
それが、真の成長への一歩となります。

自分反省について、【自分を知るということ──私が少しずつ向き合ってきた「本当の自分」】をご覧下さい。

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