平常心(へいじょうしん)

静けさと智慧の習慣
霧が立ち込める静かな湖。水面は穏やかに周囲の景色を映し出し、音もなく、ただ静寂が広がっています。外部の騒がしさに動じることなく、内面の静けさを保つ「平常心」。

Equanimity

──静けさを取り戻す7つの習慣

最近、平常心ってどうやって持つんだろう?と考えることが増えました。

世の中は、目が回るほど忙しい。
SNSを見れば、次から次へと情報が流れてくるし、人付き合いもどんどん変わっていく。

少し気を抜いたら、自分の心が追いつかなくて、置いていかれたような気分になります。

…そのようなご経験はございますでしょうか?

心を失いかけた、あのときの自分

数年前のことです。仕事で昇進のチャンスが巡ってきて、がむしゃらに走っていた時期がありました。成果ばかりを追いかけていた私は、気づけば体調を崩し、職場の人間関係もギクシャクし始め……。今思えば、かなり空回りしていました。

そんなとき、ふとしたきっかけで、友人に誘われて山の中のお寺を訪れたんです。木々のざわめきと澄んだ空気の中で、年配のお坊さんがこんなことを言いました。

風が吹けば、ただ風を聴けばよい。雨が降れば、ただ濡れて歩けばよい。

その言葉が、ずっと心に残っています。

平常心という、生きる姿勢

平常心。それは特別な何かではなく、むしろ一番シンプルで自然な心のあり方だと思うようになりました。

成功しても驕らず、失敗しても沈まず。風が吹いたら風を感じ、雨が降れば傘を差す。それくらい自然に、今この瞬間とともに在ること。

でも、これって案外むずかしいですよね。だからこそ、私は毎日の生活の中で、小さくてもできることから始めています。

ここからは、私自身が試して効果を感じた平常心を育てる7つの習慣を紹介したいと思います。

平常心は、日々の小さな選択から育まれる──私が実践している7つの習慣

1.一杯のお茶で今に帰る

毎朝、白湯やお茶をゆっくり飲む時間をつくっています。スマホは触らず、ただ湯気を眺めて、味わってみる。それだけで今ここに心が戻ってきます。

過去でも未来でもなく、に意識を置くことが、平常心の第一歩だと感じます。

2.感情は空に浮かぶ雲のように

怒りや不安が押し寄せてきたときは、無理に消そうとしないで、ただ来たなと眺めるようにしています。

感情に振り回されるんじゃなくて、少し離れて見てみる。そうすると、意外とスッと落ち着く瞬間があるんですよね。

感情の観察について詳しく書いた記事もありますので、気になる方はこちらをどうぞ(→忘れるという知恵)。

3.いい日も悪い日も修行の一部

以前、失恋して心がざわついたとき、河原で見た一輪の花に救われたことがあります。

これもまた縁だったんだなと思えた瞬間、不思議と感謝の気持ちが湧いてきました。

どんな出来事も、心を育てるためのひとコマ。そんなふうに受け止められると、心がふっと軽くなります。

4.自分の心と、正直に向き合う

SNSを見て落ち込んだり、誰かと比べて焦ったり……。私もよくあります。

でも、そういうときこそ、自分の心がどんなふうに揺れているかに気づくチャンス。自分の軸を見つめ直すことで、外の評価に左右されにくくなっていきます。

5.ありがとうを増やす

朝の光、誰かのさりげない言葉、今日も健康に過ごせたこと。

小さなことにありがとうと言葉にすると、不思議と心が柔らかくなるんです。感謝は、心を静かにする最高の習慣だと思っています。

6.体を整えると、心も整う

私は毎朝、簡単なストレッチと深呼吸をしています。それだけで、気持ちが全然違うんです。

動きと静けさ、どちらもバランスよく取り入れることが、心の安定につながっていると感じます。

7.自然に触れる時間をつくる

忙しいときほど、空を見上げたり、緑のある場所を歩いたりするようにしています。

風の音、木漏れ日、水の流れ。自然の中にいると、自分の中にある静けさとつながれる気がするんですよね。

おわりに:静けさは、すでに心の中にある

平常心って、どこかに探しに行くものじゃなくて、実はすでに自分の中にあるものなんだと思います。

焦らなくていい、完璧じゃなくていい。
ただ、少しずつ、自分らしいリズムで育てていけばいい。

風が吹く日も、雨が降る日も、
そのままの今を、やさしく受けとめられるように。

そんなふうに生きていけたら、きっと心のどこかに、静かな明かりが灯っているはずです。

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